うたうのをやめません第2回

魚屋スイソが皆さんへゲームミュージックをおすすめしていこうという個人コラム「うたうのをやめません」第2回です。
今回はsampleさんからお題をいただきました。

壊れたいときにききたいゲームミュージック(お題:sample)

Good-bye my earth - ダライアスバースト - 土屋昇平

タイトーの人気STGである『ダライアス』シリーズの一作、『ダライアスバースト』よりZONE A(1面)の曲です。『ダライアス』といえばサウンドチームZUNTATAの一員、小倉久佳による音楽も評価が高く、『ダライアスII』の「Say PaPa」、『ダライアス外伝』の「FAKE」、『G-ダライアス』の「KIMERA II」など、数々の名曲がゲームと共に誕生してきました。厳かでありながら攻撃的で、しかもどこか毒のあるステージBGMはアーケードゲームの基盤という音色の制限を感じさせないほどでした。しかし2009年に発売した『ダライアスバースト』は、1997年の『Gダライアス』から12年ぶりの新作ということもあり、サウンドはさらに驚くほどの進化を遂げていました。中でもこの「Good-bye my earth」は、グロッケンの鳴る怪しいイントロから一転、突き抜けるようなボイスシンセと激しいリズムトラックスが鳴り響き、プレイヤーを打ち震えさせます。深海に沈んだような廃都市のビル群を背景に、自機のレーザーが飛んでいく様も壮絶で、プレイすればたちまち夢中にならざるを得ないでしょう。また本作はPSP専用ソフトでしたが、後に『ダライアスバースト アナザークロニクル』がアーケードで登場し、こちらは2画面の大型筐体で、スピーカーも強化されているため、BGMも迫力を増しています。特にメインBGMである「組曲光導」は圧巻の一言に尽きるというもの。ちなみにアーケード筐体は外から内側が見えにくい構造をしているので、人目を気にする必要がありません。安心して、思う存分、ヨダレを垂らし、アヘ顔でボムをぶちかましてください。我を忘れ、理性のタガを外したいときは、『ダライアス』がオススメです。

水中レベル WATER MUSIC - スーパードンキーコング - David Wise

はじめてプレイしたテレビゲームは『スーパードンキーコング』でした。1-4が水中ステージで、見とれそうなほど綺麗な緑とピンクの色をしたピラニアに当たるとダメージ判定があるということの理不尽さ、背景になっている砂地の果てしなさ、苔まみれの岩のヒダヒダの気味の悪さ、突然回転しながら襲ってくるまだら模様のタコの意味のわからなさ、当事はすべてが恐怖でした。正直いまでもトラウマです。しかし海というものはやはり魅力的で、画面を見つめながらこのアンビエントなBGMを(ステージをクリアできないがために)延々聴いているとやがては陶酔状態に陥り、同居する恐怖に精神を蝕まれ、そしてゆっくりと気が狂っていくというものです。サントラとして発売されているCDアルバム『ジャングル・ファンタジー』には同曲のアレンジバージョンが収録されています。また、海外のリミックス企画『Kong in Concert』でもアレンジされています。どちらもオススメです。海ステージでいえば『スーパードンキーコング2 ディクシー&ディディー』及び『スーパードンキーコング3 謎のクレミス島』のものも難易度が高く、またシリーズを重ねるごとにグラフィックの不気味さもより一層増しているのですが、BGMの狂気度では今作が一番かと思います。

gigadelic - beatmaniaIIDX 11 IIDX RED - teranoid feat. MC Natsack

自分は音ゲーマーであり、特に『beatmaniaIIDX』(以降弐寺)は、どんなに具合が悪くてもどんなにお金がなくても週に3回はゲーセンに寄ってプレイするほどのヘビーゲーマーでもあります。と言ってもようやく中級者の域に達した程度なのですが、その中級者にとって壁となる曲が幾つかあり、その一つがこの「gigadelic」です。弐寺には段位認定というシステムがあり、7級から1級、初段から十段、そして皆伝と、プレイの腕前に合わせたランクがあるのですが、「gigadelic」はSP八段のボスであり(つまり「gigadelic」を越えると八段として認定される)、『IIDX RED』で登場して以来、シリーズのほぼ常連として毎作プレイヤーを苦しめています。ニュースタイルガバというジャンルで、独特のハネたリズムに太いキック、クラブミュージックの中でもかなりハードな分類になるのですが、「gigadelic」の場合も例に漏れず激しいサウンドになっています。ゲームとしても、譜面が鬼のように難しく、特に終盤の、いわゆる発狂と呼ばれるトリル(鍵盤の交互連打)地帯は、段位認定に挑戦するプレイヤーを、もう一息でクリアできる、あと少し、あと少し、という希望もろとも粉砕する破壊力があります。きっと今も、どこかのゲーセンで目を回し、泡を吹いて筐体の上に倒れているプレイヤーがいるに違いありません。同じく弐寺の段位認定のボス曲でいえば、SP七段の「THE SAFARI」もかなりの難易度を誇っていますが、サウンドとしては「gigadelic」の方が破壊力があると思い、今回はこちらを選びました。ちなみに自分は八段挑戦中、「gigadelic」のリズムに乗って無心で鍵盤を叩いていると、急に変なスイッチが入って全てが楽しくて楽しくて仕方がないというトリップ状態に陥り、その後のことはよく覚えていません。口元半開きで息を切らしながら、汗だくで画面に映る合格の文字を見つめている様子はかなり声をかけ辛かったと、後日友人から言われました。

コラム「うたうのをやめません」ではテーマを常に募集しています。どなたでも、何度でも構いません。コメント、お待ちしております。
第3回は旅に出たくなるゲームミュージック(お題:コーリャ)を予定。